おはようございます!本日は、カナダのマーガレット・アトウッドによるディストピア文学『侍女の物語』を、気鋭のイラストレーターが鮮烈なグラフィックノベルに仕上げた作品です。どうぞ、ご覧ください。
『侍女の物語 グラフィックノベル版』マーガレット・アトウッド/著 ルネー・ノールト/イラスト 早川書房
原作の『侍女の物語』は「産む道具」である女たちの静かなる闘いを描いた傑作です。まずは、この作品について、もう少し詳しく紹介します。
近未来のディストピア国家・ギレアデ。この国において、出生率は下降の一途を辿っていました。環境汚染、エイズ、地震による原発事故、遺伝子実験・・・。
そんな環境の中で、子どもを生む事が出来る女たちは、「侍女」養成施設へ送られます。そこで支配者層である司令官の子を産む道具として仕える様に教育されるのです。この国で、「侍女」は、「子どもを産むことが可能な女」として貴重な国家資源です。
「侍女」は希少価値を持ちながらも、高官達に産む子宮を差し出すだけの存在として、ほかの女性たちからは、嫉妬や蔑みの目で見られています。
この国では、フェミニズム運動に携わる女性は「不完全女性」とみなされたり、体制に違反したり反抗した者は、コロニーへと送られ、死体や放射性物質の処理をさせられます。
主人公は、このギレアデ共和国の侍女オブフレッドです。ちなみに、「オブフレッド」は本名ではありません。侍女は仕える高官の名前にofを付けた名で呼ばれているのです!つまり、誰かの所有を表す「of」の後に仕える高官の名前を付けて呼ばれているということです。
彼女の役目はただひとつ、配属先の邸宅の主である司令官の子を産むことでした。しかし彼女は夫と幼い娘と暮らしていた時代、仕事や財産を持っていた昔、・・・を忘れることができません。禁じられた読み書きや化粧など、女性らしい習慣を捨てきれません。
彼女は、反体制派や再会した親友の存在に勇気づけられ、かつて生き別れた娘に会うため順従を装いながら恋人とともに逃亡の機会をうかがいます。監視と処刑の恐怖に怯えながら逃亡の道を探る彼女の生活に、ある日希望の光がさしこみますが・・・。
男性優位の近未来社会で虐げられ生と自由を求めてもがく女性を描いた、カナダ総督文学賞受賞作品です。
あっ、グラフィックノベル版の原作の紹介で「いっぱい」になってしまいました(笑)。
ちなみに、『侍女の物語』の35年越しの続篇『誓願』の翻訳が同じ出版社・早川書房から10/1に刊行されました。
