おはようございます!本日は、敗戦後の暗い世の中にひとときの希望の灯りを灯した、戦争孤児を描いたNHKラジオドラマ『鐘の鳴る丘』を基にしたフィクションです。このラジオドラマの制作過程でのやりとり、戦後2年目の「新しい時代」となった子どもや大人の人間模様、世相を巧みに描いています。ご一読ください。
『鐘を鳴らす子供たち』 古内一絵/著 小峰書店
敗戦後、教科書に墨を塗らされた良仁たちは、大人が起こした戦争にふり回された子どもです。同時に大人たちもまた、自分たちの起こした戦争に、深く傷つきさいなまれていました。だからこそ、大人と子どもが一緒になって作り上げた『鐘の鳴る丘』は、あんなにも圧倒的に、世間に受け入れられたのです。『鐘の鳴る丘』は、大勢の人にとって、自分たちの物語でした。
小6の良仁は、学校の菅原先生の訪問を受け放送劇に出るよう誘われます。親友で町に一軒しかない医者の息子祐介。菅原先生が顧問をつとめる演劇部「小鳩会」の勝、世津子、演劇に心酔する実秋、5年生の都も出演します。そして、戦争で父親を亡くし幼い妹の面倒を見るため闇市にも出入りする将太、馬方の息子の孝も。
制作は、学校では菅原先生、演技指導の重子先生、スタジオでは2人の見守る中、脚本家の菊井(菊田一夫)、演出家の牛山、音響ナベさん、ハモンドオルガンを弾く音楽担当の古坂先生(古関祐而←NHK朝ドラ「エール」の主人公・古山裕一のモデル)らにより進められていきます。
大人の世界を知る将太は、生きるために収録のNHKの会議室で大人の吸ったたばこの吸い殻集めをしたりします。良仁、祐介は、日ごろ演技は「気持ち」が大切と言う実秋の誘いに乗り、演技の参考にと、本当の戦争孤児を見に将太の案内で上野に出かけ、孤児たちの実態に驚愕します。
支える大人たちも、戦時下教育の陰を引きずる菅原先生、脚本の菊井、音楽の古坂も戦争協力の活動を問い返します。姉を原爆で失った演技指導の重子先生は、後に、姉の見舞いで広島を訪れたことから病を発症します。
初めに「ひどい滑舌」といわれた子どもたちですが、毎日重子先生の特訓を受け個人差はあっても上達していきます。そして、子どもと大人が一緒に作り上げた『鐘の鳴る丘』は圧倒的に世間に認められました。
人気を博した彼らは戦争孤児の施設を慰問訪問します。ここで孤児の光彦から、彼らの演ずる『鐘の鳴る丘』の戦争孤児の姿は全て「嘘」だと突きつけられます。このとき脚本家の菊井は、光彦が欲しがった万年筆を彼に渡し「それで、君の物語を書きなさい」と告げます。
光彦の言葉で声が出なくなる実秋、彼がいないと公開放送もできません。重子先生や仲間の励ましで何とか当日を迎えましたが、舞台で我を失う実秋、台本を無視し即興で演技する将太や仲間たち。・・・そんな彼らが20数年経過し、著名になった菊井の葬儀で過ぎ去った過去を思い起こします。・・・
「〽緑の丘の赤い屋根 とんがり帽子の時計台 鐘が鳴ります キンコンカン メイメイ仔山羊も 鳴いてます…… 」。
この元気な子どもたちの歌声と共に、一斉を風靡した伝説のラジオドラマ『鐘の鳴る丘』。
本書は、戦後日本を象徴する大ヒットドラマ『鐘の鳴る丘』をモチーフに、突如ラジオドラマに出演することになった子どもたちと、自分たちが起こした戦争への後悔に苛まれた大人たちが、力を合わせ生きていく姿を描いた物語です。
























