
おはようございます。今日は、2期生の宮崎詠子さんからご寄稿を頂きました。ありがとう!あきら(在学中の通称)さん。皆さん、どうぞご一読ください。
『紙つなげ!』佐々涼子/著
2011・3・11、何をしていましたか?
私は当時、出版取次という職種の会社員でした。出版社と書店の間の中間卸、出版社の本を書店に卸す、問屋です。
日本の出版物は、一日に約100冊新刊発売されますが、地震の後、多くの本の発売が延期になったり中止になったりしました。印刷所やインク工場、製紙工場の多くが東北にあり、大変な被害を受けたからです。現場は大混乱で、毎日出版延期の連絡が出版社から届いて「これからどうなってしまうんだろう」と、不安でいっぱいで、出版業界が斜陽業界と言われて久しく、このまま出版というものが無くなってしまうのかもしれないと、本気で皆で話し合っていました。
けれど、そんな中でもたった一週分、休んだ(休刊)しただけで、発売し続けた週刊誌があります。なんだと思いますか?
そう、週刊少年ジャンプです。そのジャンプが毎週発売されたことに、出版業界はどんなに希望を持てたでしょう。それにはたくさんの、本当にたくさんの人たちの努力と意地とプライドが成せた事実です。奇跡じゃない、ひとりひとりの「出版を止めてはいけない」という使命感です。
本書は、その人たちの話のひとつです。日本で最大級の製紙工場、日本製紙石巻工場も、津波の被害にあいました。その年のGW、この工場に行くと酷い有様でした。大きなトイレットペーパーのようなものがあちこちに散乱していて、ずっと持っていた不安が絶望に変わりそうになった時、ふと空を見上げると、鯉のぼりが!
それを見て私は嘘じゃなく泣きました。「ああ、大丈夫だ。日本の出版は死なない」そう思った。
その三年後、発売されたこの本を読んで、号泣してしまった。あの悲惨な状況から復興した日本製紙石巻工場のノンフィクション。思わず握りこぶしをつくってしまう。
読後は紙が愛おしくなってしまう、素敵な一冊です。
※書影は、ハヤカワ・ノンフィクション文庫版(2017/2/9)『紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている: 再生・日本製紙石巻工場』です。