2020年7月14日火曜日

気だるさに身を任せて


おはようございます。今日は、6/7、6/14、6/30、7/4に登場した29期生の牛田悠貴さんの「現代ラテンアメリカ文学・紹介」の第5弾!です。朝から雨降りの今日みたいな日に読むにうってつけの小説らしいです。ありがとう!うっしー。どうぞ、皆さん。

『深い川』ホセ・マリア・アルゲダス/著 現代企画室


最近は雨が多くて、気分が少し「どよーん」としている。なんて人もいるかも知れません。そういう時って、おもしろおかしい本よりも、むしろ気だるさに寄り添ってくれるような本が読みたくなること、ありませんか?

今回紹介するペルーの作家、アルゲダスの『深い川』は、どんよりとした気分に寄り添うタイプのおはなしかな。と思います。これ読んで、「よし、元気が出た!!」っていう人は多分変態です(笑)

内容的には、ちょっとハードな長編。大雑把に作品の全体像を言うと、南米の先住民と仲良しな白人の少年が、自身の白人文化や教育には馴染めず、逆に自分と同じ白人の富豪や神父たちによって、先住民が虐げられていることに心を痛めているという感じです。

もちろん他にも色々なことが起きます。知的障害の女の子や、黒人の神父など、先住民以外の被差別や犯罪も描かれているし、逆にそういう人たちのちょっとした幸せの場面も描かれています。

「ハードな内容」と言いましたが、もっと鬱展開になる小説やマンガはいくらでもあるなあ…と思っていた中、とあるブログで『とんでもないような残虐性や悲しみに貫かれているよりも、こういった中くらいの悲しみを背負った文学作品を読んだほうが、胸が張り裂けそうな感じになる。』と紹介されてるのを見て、「まさに!!」と納得しました。

なんだか、グロテスク過ぎたり、憂鬱すぎると、ある種自分とは無関係で完全なフィクションとして消化してしまうのですが、こういう作品はチクチクと自分の中にある悪性を引きずり出されそうな感じがするのです。

弱者を守ると言いながら、その人たちが強くなることを決して許さずに、搾取を続けていく強者たち。そしてその「強者の偽善」を見抜く少年の語り口が、僕自身の中にも存在している「偽善」を暴こうとしているようにも感じられました。

アルゲダス自身が、ただの小説家ではなく、文化人類学者ということもあり、若干専門用語多めだったり、事物の説明が細かすぎたりするのが少し読みにくいというところもありますが、(一回それで挫折しました)なんとなく分からないとこはスルーしても物語の全体像にはさほど響かなそうなことが分かったので、読み切ることが出来た感じです。

何も予定がない日とか、たまにこういう本を読んで、気だるさに身を任せてみるのも良いかも知れませんね。