2020年7月2日木曜日

ニンゲンは犬に食われるほど自由だ


おはようございます。今日は、4期生の佐藤力さんからご寄稿を頂きました。ありがとう!力君。皆さん、どうぞご一読ください。

『メメント・モリ』藤原新也/著 朝日新聞出版

「ニンゲンは犬に食われるほど自由だ」
みんなは、この言葉から何を感じるかな?

「縁起でもないこと言わないで」「食われるなら自由じゃないんじゃね?」「自殺願望?」……。この一文からだけでは、はっきりはわからないよね。でも、なんじゃこりゃ!という違和感を感じなかったかな。

この言葉は『メメント・モリ』という本からの抜粋です。藤原新也という人が、インドを中心に撮影した写真に言葉が添えてあります。だから写真集であり、詩集であり、本から受け取る問いかけは哲学書のようでもあります。言葉の1つ1つは、とてもシンプル。なのに、わかった気持ちにさせてくれない。たぶん「理解する」本ではなくて、「感じる」本なんだと思う。

「ニンゲンは犬に食われるほど自由だ」の一文が添えらえている写真は、こう。川岸にニンゲンが倒れています。どうやらすでに死んでいるみたい。そして、そのニンゲンの足に犬がかじりついている。その横で別の犬が悲しげな表情でみつめている……。気持ち悪い写真ではないよ。ちょっぴり怖いけど、厳かでもあり、人もまた単なる生き物であることを感じさせます。

ぼくはこの本に19歳のときに出会ったのだけど、働くようになって忘れていました。ところが、コロナ禍で「自粛」という言葉を毎日聞くようになってから、突然この言葉が蘇ってきた。自粛生活は、命を守るためとして、皆が自主的に取り組んだことだけど、同時にどこか強制的な一面もあったんじゃないかな。

心臓が動き続けるという意味では「安全だけれど、どこか圧力のかかる世界」と、命の保証はないけれど「犬に食われるほど自由な世界」は、ひょっとしたら対角線上にあって、負荷を受けたぼくの心がバランスをとるために引っ張り出してきたみたい。

自由の森のみんながいまこの本を読んだら、どんなことを思うのかな。感じる読書体験を是非、『メメント・モリ』で。