2020年7月18日土曜日

しまふくろうの森


おはようございます。本日は、北海道に生息するしまふくろうを、生命力溢れる姿をカメラでとらえ、熱い文章で伝える写真絵本です。どうぞ!

『しまふくろうの森』前川貴行/文・写真 あかね書房

本書の表紙は、暗闇のなか、翼を大きく広げたシマフクロウです。見返しを開くと、紙面いっぱいにヒナの顔。しっかり開いたまん丸の目。ヒナは、木から落ちては地上を歩き、また木によじ登るのを一週間ほど繰り返して、巣立ちの練習をするらしいです。

そのヒナを見守る親鳥。翼を広げた勇壮な飛行。樹上にたたずむシルエット。森の奥への侵入者に向けた眼光するどい目つき。じっと見入ってしまいます。特に枝上のたたずまい、いかめしい顔つき、翼の不思議な造形は、まさにコタン・コロ・カムイ。

「写真を撮ることは同時に、目の前の生き物たちと、無言のコミュニケーションをとること」と、前川氏。それが本書の文にも感じられます。シマフクロウに注ぐ熱い思いが伝わってくるのです。枝にとまっているヒナについては「ポロン」、成鳥は「ボロン」と表現した擬態語も耳に残ります。

シマフクロウは世界最大級のフクロウで、国の天然記念物です。体長は約70センチメートル、翼を広げると180センチメートルにもなります。日本では北海道中央部と東部に分布しますが、環境省のレッドリストで「絶滅危惧IA類」(ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高い種)に分類されています。現在確認されている個体数は約160羽。環境省や市民の保護活動にもかかわらず、絶滅が危ぶまれている・・・。

本書はヒナの写真で始まり、読み終えて本を閉じると、裏表紙でまた違った表情のヒナに出会えます。

ぜひ、一度、手に取ってご覧ください。