2020年7月20日月曜日

明るい部屋


おはようございます。今日は、卒業生の佐藤壮生さんのご寄稿です。ありがとうございます!「僕がこの本を初めて読んだのは18歳のとき」で始まる、一冊の本の紹介。皆さん、どうぞ、お楽しみください。

『明るい部屋』ロラン・バルト/著 みすず書房

僕がこの本を初めて読んだのは18歳のとき、『散歩の達人』という街歩きの雑誌が好きでした。いつも違う、気になる女の子を誘って、特集されてる街を一緒に歩くのも楽しかったけど、カメラを持って、ひとりで歩くと、知らない街で迷子になって、いい気分でした。

今でも、知らない街で迷子になるとワクワクします。

その頃はまだフィルムカメラが全盛で、そこで撮った写真を暗室に入って現像してました。酢酸の匂いが充満した暗い部屋で、現像用の赤いランプでぼんやり現れてくる街の写真、たまに女の子。その時の、人に言ってもうまく伝わらない、でもとても愛着のある写真について、頭のいいフランスのおじさんが説明してくれたのが、この『明るい部屋』という本です。

プンクティムって、ちょっと可愛い響きの言葉で、写真の中の、どうしようもなく気になる一点についての話をするのだけど、もしかしたら愛の話なのかもしれない。

インスタとかティックトックとかで切り取られた一瞬のテンションとは少し違う時代。懐に家族の写真を抱いて戦争に行った人が、写真から感じていた、記憶を遡って想像した暖かさみたいな部分も、感じられるかもしれません。