2020年11月8日日曜日

珪藻(ケイソウ)美術館

おはようございます!本日は、科学絵本・図鑑である、

『珪藻(ケイソウ)美術館 ちいさな・ちいさな・ガラスの世界』奥 修 文・写真(福音館書店、たくさんのふしぎ傑作集)です。

0.1ミリにも満たない藻の仲間、ケイ藻を集めてガラス板に敷き詰めた作品を、世界でも数人しかいない「珪藻アート」作家の奥修さんが一冊の本にまとめたものです。

ケイ藻はガラスの殻に包まれた藻の仲間。数万種類以上いるとされ、形もさまざまだ。殻の標本を美しく並べる観賞用のプレパラート作りは、あまりにも細かく難しい作業のため、世界で技術を持つ人は少ないそうです。

顕微鏡のレンズ越しに彩られた世界は丸や三角、星形など、さまざまな形の宝石をちりばめたようです。

ガラスでできた殻をもつ藻、珪藻。海や川、自然のなかから珪藻。顕微鏡をのぞきながら、まつ毛や針先でつくった道具を操り珪藻をならべていきます。完成した珪藻アートは直径1ミリほど。ストイックな職人の技を極めた先に姿をあらわすのは……肉眼では見えない極小の世界の極限の美しさです。

繊細で美しい「珪藻アート」の魅力に迫る『珪藻美術館』は、2019年に月刊絵本「たくさんのふしぎ」の6月号として刊行され、大きな反響を呼びました。今回、ハードカバー化に際し、著者の子ども時代のエピソードもまじえながら書かれた、刊行当時の「作者のことば」から。

「幼少の頃、よく海に連れて行ってもらいました。相模湾の潮だまりで、エビ、ヤドカリ、ウミウシ、いろいろな生き物を採集して楽しくて仕方がなかった記憶があります。(中略)

ちいさな頃から星が好きでした。親戚に買ってもらった図鑑をみては宇宙に思いを馳せ、夜空を眺めていました。(中略)

また、花火が大好きで、近所で花火大会があるといつも見に行っていました。夜空に次々と輝く花火を見ていると心が洗われるようで、遠くの花火大会にも出かけるようになり、花火の本を買って勉強もしました。

大学では海洋化学系の研究を続け、試験管やビーカーを扱いながら、いろいろな化学処理を行う技術を身につけました。同時に、顕微鏡についても勉強し、珪藻とも出会いました。そして研究者になってからは、給料で自分の顕微鏡を購入して、職場でも自宅でも顕微鏡観察ができるようにしました。

こうして書いてみると、世界で数人しかいないと言われる「珪藻を並べる」という仕事は、私の人生にぴったりという気がしてきます。本書でご覧頂いたように、完成した珪藻アートはまるで花火や星空のように美しく、珪藻の採集は幼少期の遊びと変わりません。大学や職場で勉強した化学や顕微鏡技術も役に立ち、「顕微鏡で見る花火や星空」を作っているかのようです。このように人生の経験というのはつながっていて、仕事に活かすことができます。皆さんも、様々な体験に夢中になったことがあると思います。ぜひいろいろな体験を積み重ねて頂き、そして将来、自分は何をしてきたのか振り返ってみてください。きっとその先には、あなたにしかできない素敵な仕事があるはずです。」