おはようございます!本日は、絵本
『ここにいる』あおき ひろえ著(廣済堂あかつき)です。
三人姉妹の真ん中の子が、なき父親の思い出を綴ります。
なんでもない日常のことと、特別な日のこと。
おとうさんは、働くことが大好きで、日曜日には畑仕事、春の畑で採れたエンドウの卵とじが好きでした。
ひざに座らせて絵を描いてくれたこと。
原稿用紙に現れた、居眠りする猫の絵。絵描きさんになりたいと言ったら、次の日、仕事の帰りにクレヨンを買ってきてくれたこと。暗くなるデッサン教室の帰りには、迎えに来てくれたこと。
中学生、高校生と成長するにつれ、わたしの夢を支えてくれる存在に。
独り立ちのはなむけは、包丁とはさみ。そして、結婚相手を連れて行ったとき、みんなが反対する中でおとうさんが言ってくれたひとこと、「わるいひとには とても みえない」。
(ちなみに、作者のパートナーは、やはり絵本作家の長谷川義史さんです。)
孫ができて、おじいちゃんなってから、亡くなるまでのいろいろなこと。
おとうさんのお兄さんは、戦争に行ったきり帰ってきませんでした。このページの絵は、お昼寝するおとうさんと、その上を飛ぶたくさんのシオカラトンボ、そして、テレビ画面の中の戦闘機です。少ない言葉から、かえって、静かに平和を願う作者の心が伝わってきます。
病院の真っ白なベッドは寝心地が悪くて、家に帰りたがったこと。わたしがキツネの出てくる物語を読み聞かせしたら、とても喜んでくれたこと。
おおらかな絵と、簡潔で優しい言葉が、懐かしいような人恋しいような感覚を呼び覚まします。どのページにも余分な言葉がありません。
本書は、絵本ですが、歳を重ねた読み手のほうが深く感じるところが多くあるかもしれません。どのページも自分に引き付けて読むことができます。本の世界が広がります。
おとうさんとわたしの日々、その最期の日までを、しみじみと、色あざやかに描き出します。
だれもが自分を重ねて読むことができ、人生が愛おしくなる絵本です。
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いっせいに咲いた花の中で、おとうさんは旅立ちます。「この人生をまっとうした おとうさん おめでとう」
・・・そして、・・・わたしが故郷へ帰ってみても、「へやにも、にわにも、はたけにも、どこをさがしても いないのです。」切ないですね。寂しい、やり場のない思いです。
「でも、ひとつ わかったことがあります。それは……」
「わたしが おもえば、いつも ここに いる。」
