おはようございます!本日は、
『世界から守ってくれる世界』塚本はつ歌/著(産業編集センター)です。
母の手料理をこれ見よがしに捨てる父,父の嫌いなスイカを食べ続ける母。日に日に仲が悪化していく両親に心を痛める14歳の薫子は、クラスメイトの中鉢と他愛ないやり取りをしている時だけ気持ちが安らぎます。
「わたしは男子の格好をしていますが、心は女です」と突然のカミングアウトをして以来、学ランからセーラー服姿で登校してくるようになった中鉢は、クラスの中で異彩を放っています。
家族という枠組み、性という枠組みに違和感を覚える2人は、かけがえのない友情を育みます。
そんな中、薫子の曽祖父が遺してくれた一軒家で一夜を共に過ごした後、中鉢は学校から姿を消します。
中鉢が親から虐待を受けていたことを知った薫子は、自分にとって大切な存在である中鉢を助けるため、生まれて初めての大きな決断をするのです。
「世界は一つなんかじゃない。今いる場所が生きづらいと感じたら、無理に順応しなくても外に居場所は必ずある」
家族の在り方、虐待、性別の自己認識、思春期の葛藤……どっしり重いテーマが絡み合って「刺さってくる」のに読了後は爽快感すら感じさせる、不思議な小説です。特に、ラストは痛快!
ご一読を。
