おはようございます!本日は、高3の岩井路加君の寄稿です。ありがとう、るか君。ご一読、ください。
『内戦の地に生きる フォトグラファーが見た「いのち」』橋本昇/著(岩波ジュニア新書)です。
いきなりですが、こんな言葉を聞いたことはないでしょうか?
「今もアフリカでは貧しい子供達が苦しんでいる」
僕はこういった言葉を耳にする時、どうしても身近に感じられず、反発心さえ持ってしまうことが多々ありました。だけど僕は、ある本を読んで、アフリカどころか実際は世界中で多くの人が苦しんでいる現実を受けとめなければならないと思い始めました。それが本書です。
この本では、著者の橋本昇さんが撮った写真と文章によって、ボスニア・ヘルツェゴビナや南スーダンなどの内戦の地に生きる人々の姿や、彼らを取り巻く状況や背景が紹介されています。著者は、有名なアメリカの雑誌『ライフ』誌『タイム』誌でも活躍し、国内の被災地や内戦地域を主に30年間活動し続けているフォトグラファーです。飢餓に苦しむ子供の写真、交戦地域でハグを交わすカップルの写真など、過酷な現実に打ちのめされている人々やそれでも懸命に生きようとする人々の姿が一冊の中に詰まっています。
僕が特に心を打たれたのは、1994年のルワンダについての章です。当時のルワンダでは、フツ族による、約100万人のツチ族に対する大虐殺が起きました。著者は、道路に打ち捨てられたツチ族の人々の死体や、ツチ族の戦闘グループによって国を奪われた大量のフツ族難民を目の当たりにします。最初は、フツ族の難民たちに懐疑の目を向ける著者。しかし、コレラの流行によってバタバタと難民が死んでいく状況が描かれた文章を前にして、次第に、僕も著者と同じように揺らいでしまいました。道徳や真理のようなものを差し込める余裕もないほどの悲惨でやるせない現実に目を見張る他ありませんでした。
冒頭で取り上げた「今もアフリカでは貧しい子供達が苦しんでいる」という言葉。事実ではあるけど、すごくボヤッとしたこの言葉に違和感を抱く人は、かつての僕を含め少なくはないと思います。この本は、そんな僕らのレンズをズームインさせ、ピントを合わせてくれます。どんなにあいまいでも事実である限り、たくさんの国のことを具体的に知れば、スッと受け止めることができると思います。
また、僕らの頭上を飛び交う情報は、歩幅を合わせてはくれません。テレビCMやSNSでは、すぐに目の前を通り過ぎてしまうスピードで情報発信がなされています。そういった情報を無理やり受けとめようとすると、反動が生じてしまうのは当然だと思います。この本に載っている写真や文章を目で辿ることで、自分に適した速度で受けとめることができたと、僕は感じました。
そして、福島県飯館村を扱った最終章を読めば、世界中の人々の苦しみや喜びは、自分と全く無関係ではないと確認できると思います。今なお続く飢餓や内戦、政治動乱に目を向け、それでも生きようとする人々の存在にまず気づくことで、現実に対して行動を起こせるようになるのではないでしょうか。
今この瞬間を生きようとしていた人々が、この本を通して、僕らを奮い立たせてくれます。
