『銀をつむぐ者 上巻 氷の王国と魔法の銀、下巻 スターリクの王妃』ナオミ・ノヴィク著(静山社)です。
本書は、銀を金に変える娘ミリエム、父親を殺して逃亡する少女ワンダ、魔法の銀の力を身につけた令嬢イリーナ。氷の王国を舞台に繰り広げられる、リアルな世界と冬の異世界が交錯する、美しいファンタジーです。
中世東欧の小さな皇国―。ここでは時折、氷の妖精たちが棲む異世界、スターリク王国への道が開かれます。いつまでも冬が続き、人々は貧しい暮らしを強いられていました。
16歳のミリエムは金貸し業を営むユダヤ人の娘。気弱な父親に代わって、村の家々を回り借金を取り立てると、少しずつ金が貯まるようになります。
やがて「銀を金に変える娘」という評判が広がります。そんなミリエムの前に、ある日、スターリクの国王が訪ねてきて、革袋のなかの銀貨を「この銀を金に変えろ、そしたら王妃にしてやる」と、無理難題を押し付けてきました。・・・
ワンダは貧しい一家の娘です。母を亡くし、大酒飲みの父親と、二人の弟とともに暮らしていました。借金の返済ができなので、ミリエムの家で働きながら、少しずつ金を貯めていました。ある日、姉弟は酔っ払った父の暴力を避けようとして、謝って殺してしまいます。そして、姉弟たちの逃亡生活が始まりました。・・・
イリーナは成り上がり公爵の令嬢です。器量よしではありませんが、稀少なスターリク銀の装身具を身につけると、不思議な美しさを放ちます。美しい皇帝のもとに嫁ぎましたが、その皇帝には魔物が取り憑いていました。
スターリクの王国にとらわれたミリエムと、恐ろしい魔物と対峙しなければならないイリーナ。
苦境に立つ娘たちは、手を結び、知恵を絞り、難局を乗り越えようとします。そして、冬を終わらせるための火と氷の戦いが始まります。
それぞれの娘たちの物語が、まるで糸を紡ぐように、大きな一つの物語に絡み合っていく、壮大なファンタジーです。お楽しみください。

