
おはようございます。今日は24期生の中島大地君の寄稿です。ありがとうございます!アニメーション映画『耳をすませば』(1995年公開)中の「バロンのくれた物語」の背景画を描いた井上直久さんのイラスト作品集を紹介してくれています。お楽しみください。
〇 『イバラード博物誌』井上直久/著 架空社 (1994年)
「イバラード」を旅した人の記録、というスタイルをとっています。イバラードのさまざまな風景や物を描いたイラストと、簡単なキャプションが掲載されています。
むかし学生だった頃、手に取り、井上直久さんの描きだす世界はすごい、と感じました。改めて見返してみましたが、青を基調とした世界がきれいで、ずっと見ていても飽きません。
「借景庭園」というイラストには、「この平原ではいつも、通常の遠近感とは逆に、遠くの塔ほど大きく見えます。また実際大きいのかもしれません。丘を下って近づいてみると、たしかに巨大な柱はありますが、この丘から見るほどのスケールに感じられないのも事実です。」というキャプションがついています。
遠くにあるほど大きく見えて、近づくと実はそうでもない。常識には反しているように思えるかも知れません。しかし、ひょっとしたらそういうことは世の中にあるのかも知れないと、いろいろなことを考えさせてくれます。
また、「めげゾウ」も、不思議です。キャプションによれば、「伝説の動物です。比喩にすぎないと言う人もありますが、真偽のほどはわかりません。」とあります。
そして、三枚のイラストとともに、次のようなキャプションが並んでいます。
「めげゾウはイバラードに出現するという、最も奇妙なものの一つです。見た人によって印象が違い、これに出会うと歌い手は歌う気をなくし、魔法使いは呪文を唱える気をなくしてしまう、といわれます」
「めげゾウを見た人は、これについて語る気をなくしてしまいますが、子供たちだけは比較的早く立ち直ります。そこでこの姿を描くには、子供たちの話に頼ることになります。めげゾウが小象の姿をしているのは、そのためかもしれません。」
「めげゾウに出会ったあとは、お店の果物も花の種も、みんなめげゾウの形をしているように思えてきます」
自然と見えたのだと思っているものにも、すでに見る側の解釈が反映されているのかも知れない、といったことを考えさせられます。