
おはようございます。本日は、実に多様なUSAの41人の16歳が登場する物語です。こんなに書き分けられるなんて、すごい!です。しかも、とても切ない恋愛小説でもあります。
『エブリデイ』デイヴィッド・レヴィサン/著 三辺律子/訳 小峰書店(2018/9/10)
主人公Aは、16歳という共通項以外、人種・容姿・性格・性や性的志向も異なる多様な人間の体の中で、毎朝目覚めます。体を借りるのは一人一日だけ、そして、二度と同じ人物にはなれません。A自身に誰へ移るのかを選ぶ自由はありません。
一日だけの誰かを生きるので、他人の人生を変えるわけにはいかないと自らを律して生きてきたAですが、同年齢のリアノンに恋をします。
毎日、違う体に乗り移り、時にはAを追跡してくる者と対峙しつつ、彼女と結ばれたいとの思いが日々強くなってきます。
きっと、あなたは、この本を読み進めていくうちに、自分が自分であること、人との関わり、縛られない自由と何処にも属せない孤独、ジェンダー、LGBTQ等の様々な視点から見た世界…を我が身のことのように感じられ、尚更ラストのAの選択が強く胸に迫ってくるでしょう。
本書は、Aとリアノンの恋愛の展開を軸とする、Aに身体を借りられる41人の多彩な人物が登場する掌編連作集であり、また、Aの誕生から5994日目の日から始まり6034日で終わる、41日間の恋愛日記でもあります。
いま41人と書きましたが、実は35日目にもう一人の人物がAの眼前に現れます。それは、Aを追跡する、一度はAに身体を借りられた少年を背後で煽る牧師プールです。否、プールの身体を操作する、彼の中に生きる何者かです。
彼はAを「他者の身体に留まる」ようにと強く誘います。40日目に、Aはリアノンにプールのことを話し、「他者の身体に留まる方法はあるかも知れない、しかし、自分は留まることはできない。それは殺人と一緒であり、他者の命を奪ってもいい愛なんてない」と打ち明けます。
Aは試みの40日40夜に自ら終止符を打ち、リアノンの理解を得て(リアノンに別れを告げ)、翌日、「他者の身体に留まり続けることがその命を破壊することになる」という、自覚のないプールに宿る者から、逃げ出します。
読後、わたしは、性的マイノリティの肯定と多様な在り方の尊重が感じられる作品であると感じましたが、何よりも、私の胸を打ち深く残ったのは、Aの他者を思う倫理観の高さと、それにも関わらず他者の人生を巻き込み乱してしまう身体との相克の模様です。
16歳を生き続ける「A」のエブリデイ、その倫理と愛の物語。