
おはようございます。この「図書館ブログ」は4/26から始めましたが、例えば、これが3月上旬から始めていたら、こんな作品も紹介したと思います。一季節前の春の雪をお楽しみください。
『みつきの雪』眞島めいり/著 講談社
山村留学生として信州の村の小学校に都会からやってきた小5の行人(ゆきと)と、たった一人の同級生・満希(みつき)、二人の高3までの交流と成長の物語です。
物語は、高3の卒業式前日、みつきの語りから始まります。
・・・満希は地元で農家を継ぐことになり、行人は遠くの医大への進学を希望していました。卒業式前日、中学時代にふたりで訪れた村の図書館で、行人は山村留学を選んだ理由を満希に初めて語り始めます。それは、現在と過去の間の幾つかの場面をフラッシュバックして・・・。
訪れては去っていく留学生たちを見送り続けた満希の寂しさと、自分の居場所を求めて必死に耐えていた行人の孤独が交差します。
そんな二人の微妙な心の揺れや距離感、他者を想う濃やかな心遣いが繊細に描かれ、理解し合っていく相互の成長の軌跡が鮮やかに浮かびあがります。
最終章の
「ものの目覚めを助けるように、ほろほろと、春をめざしてやわらかく振り続ける」
・・・そんな雪の情景が限りなく美しく、幾たびも季節は過ぎても記憶のなかで繰り返し想起されるだろう光景というものがあるのだと感じさせます。