2020年6月15日月曜日

よみがえった紅型(びんがた)


おはようございます。今日は、沖縄を代表する染物「紅型」の話(ノンフィクション)です。図書館玄関のすぐそばにある「沖縄コーナー」。その中から、この一冊の紹介です。どうぞ、ご覧ください。

『よみがえった奇跡の紅型』中川なをみ/著 あすなろ書房(2019/11)

紅型(びんがた)というのは、沖縄を代表する伝統工芸で、琉球王朝時代に完成した染物のことです。

紅型の「紅はさまざまな色」を意味し、「型は模様」のことだと言われています。沖縄の気候や土によく合った特別な染め物です。一枚の型紙から多彩な紋様を染め分ける手法で、独特な色に染められます。

本書にも素敵な紋様の紅型のカラー写真が紹介されています。

世界に誇るこの素晴らしい文化は、琉球王国が誕生した1429年から1879年の廃藩置県で沖縄県になるまでの、450年間続きました。1879(明治17)年琉球王国が解体されたため、王家の保護がなくなった紅型の職人たちは、苦しい生活を余儀なくされていました。明治時代になると、紅型の文化は衰退の一途をたどったのです。

しかし、紅型独特の美しさに関心をもっていた鎌倉芳太郎(かまくら よしたろう)は、紅型の研究をして型紙を収集し、貴重な資料を残しました。自らも「型絵染」の人間国宝にまでなりました。

紅型の三大宗家の一つであった城間家の長男として生まれた城間栄喜(しろま えいき) は、苦労しながら紅型染をつづけていましたが、戦争のため中断を余儀なくされました。戦後焼き尽くされた沖縄で紅型を作り始めました。1938年民藝運動を起こした柳宗悦、陶芸家の河井寛次郎、浜田庄司が沖縄を訪れた際、出会った紅型を本土に紹介しました。本土から注文が入るようになり息を吹き返すことができたのです。城間氏は、個展をひらき、日本中の多くの人々に喜びを与えました。

芹沢銈介(せりざわ けいすけ)は、生活に密着した工芸の美しさを広める柳宗悦の「民藝運動」に共感し、展示住宅「民芸館」を訪れた際、紅型に出会いました。紅型を習得しながら新しい型染めを創り出していくのです。

三人に共通していたのが、飽くなき美の追求とともに、沖縄独自の大切なものだから残さないといけない、きちんと受け継がねばならないという使命感でした。独特の美しさに魅了された三人の熱情の生涯を、彼らの生きた時代背景と共に物語るノンフィクションです。