2020年6月6日土曜日

とびきり元気が出る1冊


おはようございます。1期生の須藤倫子さんが寄稿してくれました。ありがとうございます!須藤(旧姓・小迫)さん。女子高校生2人組が自分たちに「無限の可能性があることに気づいていく」、この実話を、どうぞ。

『ガール・コード プログラミングで世界を変えた女子高生二人のほんとうのお話』
ソフィー・ハウザー、アンドレア・ゴンザレス著/堀越英美訳/Pヴァイン/2019

普通の女子高校生2人組が、一夜にして世界的な有名人になっちゃうなんて信じられる? いくらネット時代とはいえ、すごいよね。これは2015年にあったほんとの話。去年出た本の中で、とびきり元気が出る1冊です。

舞台はアメリカ。人見知りで大勢の前で発表なんかとてもできない北欧系のソフィー。日記には心ゆくまで思いの丈をつづれるんだけど。一方、大舞台ほど力を発揮するタイプのアンディはフィリピン系。習い事も勉強も親の期待に過剰に応えちゃうがんばり屋。こんな正反対の2人が、女子高校生向けの無料プログラミング講座「Girls Who Code」で出会います。

なぜ女の子オンリー?かといえば、当時のアメリカでIT業界における女性の比率は25%以下だったから。そこで人材育成のため、講師陣も全員女性という入門講座ができたわけ。講座の主催者で同名NPOの設立者レシュマ・サウジャニが書いた入門書『Girls Who Code 女の子の未来をひらくプログラミング』(日経BP)も一緒に読むとおもしろいです。「女は理系に向いてない」といったマイナスイメージの決めつけから女の子を解放することが講座の目的なので、将来起業もできるように、単なる技術指導に終わらないのがすごい。すぐ下の世代をがんがん応援していこうというシスターフッドに胸が熱くなります。

さて、こんな講座を受講する中で、いろんな女性、いろんな女の子たちと出会い、学んだソフィーとアンディは、女の子が女の子らしく生きるってどういうことだろうと考えたり話し合ったりするようになります。そして意気投合した2人は最終課題でペアを組み、なんと生理用品であるタンポンを扱ったゲームを制作するのです。

生理(ここでは月経)って、つまり単なる生理現象なのに、タブー視されてるのはなぜ? あたりまえのことなのに、恥ずかしいものと思わされてる。「穢れ」あつかいされてる! 銃や爆弾で相手を血まみれにするのは娯楽として「あり」なのに、生理現象で血まみれになることは見えないことにされてるなんて、変!そこで2人が作ったのが、迫りくる敵に向かって女の子が真っ白いタンポンを投げつける、その名も『タンポン・ラン』!

発表会は無事成功、ソフィーも堂々と説明できたし、両親の評価を過剰に気にしていたアンディも、まるごとの自分らしさを応援してもらってただけってことに気が付けてハッピー。盛り上がった2人はHPを作ってゲームの改良版をネット上で発表します。「これで私たちも有名人w」てノリで。業界の女性たちに目にしてもらえたらいいな、くらいの気持ちでした。ところが17時間後にイギリスの新聞が画期的なゲームとして記事にしたのをきっかけに、あっという間に世界中のユーザーに『タンポン・ラン』は広まります。50万人以上にプレイされる、これが始まりでした。

コードを使えば思いつきが形になる、ほかの人がそれを目にし、心を動かす。それは社会を動かすことにすらつながるかもしれない。自分たちに無限の可能性があることに気づいた2人は、高校生ながらシリコン・バレーへ若きプログラマーとして招かれ、得がたい経験を積みます。

女の子の痛快な冒険物語、ティーンの自立、いろんな読み方ができる、めちゃくちゃおもしろい本です。