2020年6月12日金曜日

スベらない同盟


おはようございます。今回は、中学校のスクールカーストやいじめが背景にあるものの、主人公の魅力的なキャラにより、ちょっぴり切なく、さわやかな読後感のあるYA小説となっています。どうぞ。

『スベらない同盟』にかいどう青著 北村みなみイラスト講談社 (2019/9/12)

主人公のレオは自他ともに認めるイケてる中学2年生。軽音部ではメインボーカルだし、運動だってできます。トークスキルもばつぐんで、それだけに学校でひとりになることほどこわいものはないと思っています。

一方転校生のケイはひとりで本を読むことを好み、目立たない存在でクラスに溶け込めず、いじめの対象になります。

対照的な二人ですが、レオは担任に頼まれてケイを軽音楽部に誘ったりします。そして、ケイがクラスでの場所を手に入れられるようと、文化祭でコントを発表することを提案します。レオはケイと漫才のコンビを組み、文化祭でお笑いをすることを計画します。そのコンビ名がこの小説のタイトルになっている「スベらない同盟」。

文化祭に向けて、ネタを練り、夏休み中も一緒に練習するうちに、互いの良さに気づき、友情が芽生えてきます。

ところが、ケイとの友だち関係が深くなっていく間に、レオはクラスから仲間外れになってしまいます。ちょっとしたことから、クラスの最下層?に転落したレオ。そして、ケイとの間にも亀裂が生じ、去られてしまいます。

文化祭の当日レオは一人浴衣姿で舞台に立ちます。一人になっても、なお、文化祭で赤裸々に自分の状況を語り、ケイを讃えてネタを披露するレオ。

終盤に明かされるレオのセクシュアリティーと友だち関係など、学校という閉じた特別な空気での人間関係をリアルに描き、 最後まで一瞬も目が離せません。本好きのケイが語る読書の魅力、いじめを笑い飛ばそうとする笑いの効用、思春期の親との葛藤も・・・。多様なテーマを通して、今を生きる中学生の内面が平易に描かれている一冊です。