2020年6月25日木曜日

主人公はモブキャラ


おはようございます。今日は、ある日突然1日をループするという訳も分からない状態に投げ込まれたモブキャラ主人公(高2)が、仲間を得て日常を取り戻すために謎に立ち向かうという話。主人公がモブキャラってユニークでしょう。どうぞ、お楽しみください。

『ループ・ループ・ループ』桐山徹也/著 宝島社文庫 (2020/4)

高校2年の11月24日、何でもないかに思える1日を繰り返していることに、郁郎は気付いた。11月24日が終わらない。だけど彼にはループ(繰り返し)を引き起こす出来事に心当たりがない。俺は多分モブキャラ(脇役の一人)として誰かのループに巻き込まれているのだ。彼にはこの物語の主人公ではなくモブキャラのようだと自覚がある。なぜループが起こるのか。郁郎は混乱しつつも、ある行動を起こしたことで、このループを知る仲間(玉尾さん、貴久、文太)を得て、彼らは日常を取り戻すために謎に立ち向かい、ループの原因の人物を探すことになる。

鍵を握るのは、1年前に起きた2つの「事件」。同級生女子が一人は自殺し、数日後もう一人は連続扼殺事件の犯人によって殺された。連続殺人事件とループの原因の因果とは。

ループに気付く法則、ときたま現れる長い黒髪の女子、しかも、ループに気づいているのは主人公たちだけではなく実は——身近に潜む連続殺人犯。

繰り返しの日常描写をしっかりと考えることである違和感に気づく。その違和感からいくつかの推測ができる。少しずつピースが提示され、ループのたびにパズルが組み立てられていく。

主人公がある瞬間にループしていることに気づき、自分を誰かのループに巻き込まれた「モブキャラ」と自覚しながらもとりあえず行動していくところの「巻き込まれ・モブキャラ目線」の斬新さ、また、彼が事故や怪我の関わるトラブルから助けることで、普通なら知り合うことすらなかったであろう他者が、「時間ループに気づいた仲間」として増えていくことの幸福感。そして、ループの真相である-、ある女子高校生のある男子高校生への「優しい呪い」の切なさ。

本書は、高校生たちの学校を舞台とした、“巻き込まれ"ループ・青春ミステリーである。