2020年6月20日土曜日

17歳のロードムービー



おはようございます。今日は、岩波書店の海外YA小説翻訳シリーズである、STAMP BOOKSから、この一冊をどうぞ。

『コピーボーイ』ヴィンス ヴォーター/著 原田勝/訳 岩波書店

主人公のヴィクターは17歳。大学進学直前の夏は「メンフィス・プレス・シミタール新聞」で“コピーボーイ”として働いていました。

ヴィクターは、ある朝、スピロさんの死亡記事を見つけます。彼はヴィクターにとってかけがえのない友人でした。11歳の時にスピロさんと知り合い、それ以来、スピロさんは彼の吃音の価値観を変えてくれたり、「この世のすべてとそれ以上がある、本の中の世界」や「自分の道」を見つけることの大切さを彼に教えてくれたりしました。

ヴィクターはスピロさんとある約束をします。それは、スピロさんが亡くなったら「ニューオーリンズまで南下して、ミシシッピ川が海とひとつになる場所」、そこでスピロさんの考えた言葉、“学ぶ者・尽くす者・商う者・探し求むる者(魂の四分割)”を唱えつつ散骨することでした。

彼は両親の反対を押し切って、スピロさんとの約束を守るために行動します。まず、シミタール社の記者チャーリーさんの協力を得てスピロさんの遺灰を葬儀社から引き取り、さらにチャーリーさんの友人でニューオーリンズ在住のパットンさんを紹介して貰います。旅の準備を整え、早朝、両親に置手紙を残して、ヴィクターは助手席にタイプライター、そしてヘミングウェイの『老人と海』を連れに、600キロ余の旅に車で出発します。

ニューオーリンズやミシシッピ川に辿りつくまでの出来事、さまざまな人との出会い、特にそこで知り合った素敵な女の子フィル(フィロミーン)、そして、ハリケーンの猛威を経験します。

この一人旅から、ヴィクターはスピロさんの約束の真意やメッセージが何だったかを知ることになります。

メンフィスを舞台に吃音の少年ヴィクターのひと夏の成長を描いた『ペーパーボーイ』の続編。前作で自分の殻を破った主人公が、こんどは自分を取り巻く世界の殻を自分の力で破っていく物語です。