
おはようございます。今日は、6/5『イバラード博物誌』6/16『三体』に続いて、24期生の中島大地さんが、『三体』の続編『三体2 黒暗森林 (上)(下)』を紹介してくれています。大地さん、ありがとう!皆さん、どうぞ、お楽しみください。
『三体II:黒暗森林 (上)(下)』劉慈欣/著 富安健一郎/イラスト 大森望、立原透耶、上原かおり/訳& 1 その他 早川書房 (2020/6/18)
『三体』は、劉慈欣さんが執筆した中国のSF小説です。『三体II:黒暗森林』は、その第二部にあたります。
数世紀後に宇宙から襲来するであろう三体人に備えて、人類は「面壁計画」を実行します。それは、4人の人間を「面壁者」として選抜して、絶大な力を与えて戦う、というものでした。
三体人は高度な科学技術を持ち、あらゆる情報を察知することができるのですが、人間の心だけは読み取ることができません。「面壁計画」はその弱点を突くことを目的としていて、「面壁者」は自分の思考や感情を説明することなく、指令を下すことができます。中国人科学者、羅輯も「面壁者」の一人。しかし、恋人とともに隠遁生活にひたるばかりで…
「宇宙人の襲来」「未知との遭遇」という、SFの世界では極めて古典的ともいうべきテーマを取り上げたSF小説です。ネタバレになるため詳しくは書きませんが、資源が限られた世界でヒューマニズムは成り立ちうるのかといった問いが追求されます。
SF小説は壮大な思考実験であり、あくまで楽しんで読むものだと思います。過度に現実と照らし合わせて読む必要はないかも知れません。ただ、今の状況下で『三体』を読むと、様々なことを考えさせられます。
たとえば、浮き彫りにされるのは、人類存亡の危機に際してもいがみあって一致団結できない人類。宇宙人の襲来なんて突拍子がない、と思われるかも知れません。ただ、極限の状況で、人々がどのような反応を見せるのか、一つの思考実験として、興味深いです。
作中では、日本のSF小説『銀河英雄伝説』に登場する軍人ヤン・ウェンリーのセリフが引用されます。(『かかっているのはたかだか国家の存亡だ。個人の自由と権利に比べれば大した価値のあるものじゃない。』)劉慈欣さんは日本のSF小説にも詳しいそうですが、文学という分野で、文化が相互に影響し合っている、と感じます。