
おはようございます。本日は、8期生の西澤真樹子さんの5/21『好奇心の部屋 デロール』に続いての再登場です。西澤さん、ありがとうございます!さあ、今回もたいへん興味深い本の紹介です。どうぞ、お楽しみください。
『ねじとねじ回し―この千年で最高の発明をめぐる物語』ヴィトルト・リプチンスキ/著 ハヤカワ文庫
リプチンスキは工芸品や工具を納めた私設博物館併設の図書館で、1870年の工具職人向けカタログの図版に出会い、そこから中世の技術書の記述や図版を調べ、描き込まれたねじや、ねじまわしの原型をたどっていく。
図版だけでなくデューラーの版画なんかもみる。寓話的に描かれた工具があったりするからだ。これは、と注目した最後のエッチングは大砲だが、この絵を調べるもねじは登場しない。
とはいえ、戦争は技術を進めるもの…と思い付きメトロポリタン美術館の武器・甲冑ギャラリーへ。そして1570年代にイタリアで作られた銃の発火装置の固定にねじを見つけて興奮。
文献にあたると1475年に作られた本に、火縄銃の発火装置とねじが描かれているのをみつける。
ギャラリーから、ふらっと隣の甲冑の部屋に行って馬上槍試合の兜を観てたらちっちゃな蝶ねじを見つけ、それに伴って甲冑職人のコンビネーション工具のことを一度読んだ本から思い出して最確認…。
たのしそう!
図書館や博物館で、好奇心の触手をアタマからのばしながら歩き回る愉しみを一度でも感じたことのある人なら、リプチンスキのワクワクした気持ちを「わかるよ!」とうなづきたくなるに違いない。
個人的には、ねじのはじまりからねじ切り旋盤の開発に話が進んだところがツボった。
なんと、テムズ川に世界初の水中トンネルを作った技師、マーク・イザムバード・ブルネルにも、ねじが関わっていた!
正確に言うととんでもなく精巧なねじ切り旋盤を開発したマエストロ、ヘンリー・モーズレーが、ブルネルの発明した鋳鉄製シールドを実際に製作したらしい。
ちょうど10年前にシールド工法を調べて絵を描いたことがあるのだけど、シールドそのものを製作した人のことまで思い至らなかった…。今だったらきっと描き加えてただろうな。
おすすめ。字も大きいのですぐ読めます。