2020年8月8日土曜日

花咲家の人々


おはようございます。本日は、高3の若曽根南美さんの寄稿です。南美さん、ありがとうございます!優しい気持ちの伝わってくる本の紹介です。どうぞ、お楽しみください。

『花咲家の人々』村山早紀/著 徳間文庫

この物語は、とある街にある花屋さんで暮らしている優しい家族のお話。

花屋の経営者である花咲家の人々は、草花と会話ができる魔法を持っています。彼らはその能力こそ公にはしていませんが、人々はその街の伝説という形で能力の存在を認めているのです。

物語に主に登場する人物は、花咲家の三人の子供たち。姉である少女二人と末っ子の少年です。草花の声を聞き、会話することができる姉達ですが、末っ子は魔法を使う事ができません。

それでも彼らは、どんな形であれ街の人々を救いという名の優しい祝福で包みこみ、それは同時に彼ら自身をも成長させる糧となります。

そういえば、植物は本当は人間の力になりたいと思っているのだとか。しかし植物達は自らの力だけでは足りないため、人間に手を貸す事ができなければ、声も小さすぎて私達には届きません。

そんな植物達に耳を傾けて、ほんの少しだけ手を貸し、共に魔法をかける事をできる、それが花咲家の人々に与えられた祝福なのです。

植物からすれば花咲家は、同じコミュニティで生きる共同体とも言えるのかもしれません。

《草花の声を聞く耳を持ち、時には彼らの力を借りる事もできる。》そういった魔法を持っているが所以なのか、花咲家の人々に何処か植物めいた部分を垣間見ることがあります。人間である自分と植物の境界線が曖昧になるとでも言いましょうか。

彼らは、人間の事を植物達と同じように「守るべき存在」として認識している節がある気がするのです。植物達と存在が近すぎるからこその感覚からくるものなのかもしれません。

だからこそ、人々に手を差し伸べる事を厭わない。そんな人間を愛す彼らにも優しい祝福がありますように、と願いたくなるようなお話です。