
おはようございます!本日は、「子どもの本」を切り口に浮かび上がってくる独自のメディア論が展開される、興味深い一冊を紹介します。ご一読、ください。
『いま、子どもの本が売れる理由』飯田一史/著 筑摩選書
いま、子どもの本が、すごい!「おしりたんてい」「ヨシタケシンスケ」「サバイバル」etc.本の売れない時代に、子どもの本だけは良く売れています。さて、なぜでしょう?
直近20年で14歳以下の人口は約200万人減ったのですが、児童書は市場規模を堅持、本を読まない子どもは減少し、小学生の読書冊数は倍増!しているのです。
少子化と出版不況が重なっているにもかかわらず、2000年代以降に小中学生の読書量や児童書の市場規模がV字回復していることには「何か大きな力が働いている」と、著者は考えます。
本書は、その謎を、児童書の市場がどのように形成されたのかを、児童文学や創作絵本の盛衰のみならず、漫画やTVアニメといった他のメディアとの関係性や、国の教育にまつわる政策方針の変遷など、多角的な視点から通史的に紐解いた一冊です。
ちなみに、第3章の小見出しをあげてみます。(中高校生の皆さんも、書名を聞いたことや実は手に取ってみたものも、あるのではないでしょうか。)
第3章
・「おしりたんてい」論 推理が理解できない未就学児/低学年も楽しめるミステリーとは?
・「ヨシタケシンスケの絵本」はなぜ絵本なのに小学校高学年にも読まれるのか
・お菓子づくりと本の楽しさを親子そろって味わえる『ルルとララ』
・絵物語と児童マンガを受け継ぐ冒険アクション読みもの『ほねほねザウルス』
・『かいけつゾロリ』は、ハリウッド脚本術と時事ネタで心をつかむ
・本嫌いの男子を惹きつける「毒」を含んだポプラ社らしい翻訳もの『グレッグのダメ日記』
・低中学年向け四六判並製本が児童書で普及するきっかけとなった『マジック・ツリーハウス』
・『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』~セオリー破りの設定と毒、自分で考えたくなる駄菓子~
・レトロとポエムとおまじない カジュアルな恋愛読みものロングセラー『一期一会』
・日本の女児は完璧美人より三番手が好き 『王女さまのお手紙つき』
・グレタ トゥンベリの警鐘とシンクロする『動物と話せる少女リリアーネ』
・飛翔する児童文庫 講談社「青い鳥文庫」と角川「つばさ文庫」
・『54字の物語』~ウェブから学校へ「手軽な創作」ムーブメントを広げる~
・図鑑戦争のゆくえ
・21世紀の学習マンガ ~キャリア教育/自己啓発/STEM/国際化~
・中国に「絵本」を広めたのはポプラ社だった
・『かいけつゾロリ』二度目の中国進出の公算
どうでしょう。ちょっと見ただけでも、ずいぶん広い目で具体的な作品を通して現状をとらえていて、やっぱり、パラパラって覗いてみたくなりませんか。