
おはようございます!本日の「図書館ブログ」は、たった100字で無限の時間と空間を創造する、まったく新しいSFです。お楽しみください。
『100文字SF』北野勇作/著 ハヤカワ文庫JA
「100文字SF、集まれ!新しい船が来たぞ。えっ、沈んだらどうしようって?馬鹿、SFが死ぬかよ。それにな、これだって100文字SFなんだ。北野勇作がそう言ってたろ。さあこの紙の船に、乗った乗った!」という表紙も、裏の煽り文句も、帯のレビュー2つも見事に100文字。
『かめくん』は、木星戦争に従軍したらしいカメ型ヒューマノイド・レプリカメの〈かめくん〉が主人公の小説です。戦争の記憶を失い、市井のフォークリフト運転手として働いていたかめくんは、ある日突然解雇され、万博跡地にある倉庫会社に再就職する。木造アパート、河原の図書館、リンゴ、木星行きの市街電車……。かめくんの平穏な日常に、やがて戦争が影を落とし始めます……。独特の詩情とペーソスに満ちたロボットSFの名作です。機械知性の視点を通じて「心とは何か?」というテーマが追究され、全体をシュールな幻想の衣で包んでいます。そんな物語です。
さて、本書は、著者がTwitterで発表した約2000篇の【ほぼ百字小説】から200篇を厳選したものです。スラスラ読めて北野さんのSFのエッセンスを堪能できます。(繰り返し「亀」「坂」「夕暮れ」「夢」といったモチーフが出現するのが北野さんらしい)読みやすいけど濃い物語群という感じです。ほーっと息を呑んだり、ホロリとしたり、感心したり、すごく贅沢な気分が味わえます。SFを読み慣れていない人でも、ややこしいことなく楽しく読めるものです。
気に入った作品に付箋をつけて、この中から自分で10篇くらいのアンソロジーを作ったり、各編に題名がないので、お気に入りの作品にタイトルを付けてみるのも面白いかも知れません。そんなふうにも遊べる、ちょーちょー掌編SF集です。
まるで詩集を思わせる独特の趣のある作品集。手に取ってみて存分にお楽しみください。
