2020年9月7日月曜日

完司さんの戦争


おはようございます。今日は、好むと好まざるとにかかわらず、不条理にみながまきこまれる。そんな戦争の時代を生き抜いた、完司さんというひとりの青年のお話です。どうぞ、ご一読ください。

『完司さんの戦争』越智典子/著 コルシカ /イラスト 偕成社

1922年に新潟で生まれた完司少年は、外国へのあこがれから満州で働くことを選びます。

しかし、楽しかった満州でのくらしは、召集令状によって終わりをつげました。釜山から出発し、戦地であるグアムへ行くことになったのです。

到着直後の攻撃で左足を失ったあと、米軍の上陸により、完司さんはジャングルの中でひとり生きていかなければなりませんでした。

食料をなんとかして手に入れ、切りっぱなしの足を川や海で洗い、這いずるようにして移動する生活(完司さん曰く、カメ生活)がはじまりました。持ち前のポジティブさと聡明さを生かし、ジャングルの中で400日を生き抜いていきます。

そんなサバイバル生活やその後の捕虜生活のことを、楽しかったこともあったと、ひょうひょうと語る完司さん。でも、戦争に行って帰ってくるまでの時間は自分にとって「この世にない時代」だったといい、最後にふと、こうもらします。

「戦争は、あの若い、いちばんいい時期を奪ってしまったのですよ。今ほしいものがあるとしたら、若さです。あの体力と機敏さがあったら、あれもこれもするのに、と思いますよ。」

好むと好まざるとにかかわらず、不条理にみながまきこまれる。そんな戦争の時代を生き抜いた、ひとりの青年のお話です。

朴訥とした完治さんの語り口は親しみやすく、その体験も読者の胸に迫る思いがするのではないでしょうか。

内容は想像を絶するけれど、この本のポップなイラストや作りが、完司さんの体験を続けて読んでみようとYAを誘います。