2020年9月13日日曜日

青春という名の「帝国」

今日は、教師をやっている主人公・佐紀が中学時代の同級生からの電話で当時を思い出すことから始まる、中学生の頃に特有の複雑になる人間関係や、それらに関係する感情に振り回されるYAたちの「青春」の物語です。ご一読ください。

『青春ノ帝国』石川宏千花/著 あすなろ書房

突然の電話から、現在の関口佐紀の中に残っていた中学時代の思い出がいっきに過去へと戻っていきます。

「坂の上の古ぼけた一軒家。その科学と実験の不思議な塾は、私のたったひとつの希望だった。」

思うようにいかない中学時代。地味な存在の佐紀は、髪を切ればクラスで目立つ子の真似をしたと凄まれ、苦しむ毎日。

佐紀を癒してくれる奈良くんは両親の不仲に苦しんでいます。

そんな二人に塾の久和先生は、今の苦しみは今だけ。苦しみを取り込むと人の苦しみを分かってあげられると諭します。

佐紀はこつこつと自分自身の改革を進め、違う風景を見ようと努力していきます。不満だけでなく、一歩一歩苦しみながらも進んでいく佐紀。関わってくる大人や初恋の相手との関係により彼女は成長していきます。

その時期に共に支え、闘った同志は離れても、ともにありつづける。彼女が闘うのは青春という名の「帝国」、そして、いつしか同志と呼べるひとたちの存在に気付きます。

いい友達を得た代わりに憧れている人を永遠に失ってしまった、佐紀の気持ち。たとえ、大事なものを失うことになってしまったとしても、それぞれが生きてさえいれば・・・。この青春ノ帝国を生き抜くためには、一歩踏み出す勇気が必要です。歩き続けていれば、・・・自分が変わり、世界もまた確実に変化すると、この物語は語っています。

14歳の私がしんどい時代を生き抜いた―青春という名の「帝国」で戦う同志に贈られた、YAストーリーです。