
おはようございます。今日は、7期生の沖内辰郎さん、再度のご登場。沖内君(通称:Qちゃん)、ご寄稿、ありがとうございます!7/30『コピーボーイ』8/2『ペーパーボーイ』に続いての登場です。どうぞ、お楽しみください。
『決定版 私説コメディアン史』澤田隆治/著 筑摩文庫
本の紹介。どの本にも手に取るにはなにかの力が働いている。本が呼んでるその声が聞こえてればどの本でもいい読書が出来る。
本には行間がある。そこには何も書かれていない。空白には著者と読者の間に交わされた共通の見えない言葉によって書かれた約束がある。それは著者の思い込みでも読者の思い込みでもいいと思う。
僕はこの『私説コメディアン史』を読みながらこんな事を思い出していた。
20年ほど前グレイハウンドバスに乗りニューオリンズに着いた僕は、プロフェッサーロングヘアの曲の名前がついたライブハウスTipitinaにてエノケンが大好きな男に会う。その夜はSkatalitesとG -LOVE&Special Sourceがライブをやってた。その男と意気投合した僕は東京に来たらぜひ一緒になにかやろうと約束した。半年もしないうちに浜松でライブを僕がやるときに声をかけて再会した。しばらくして東京に出て来て一緒にたくさん時間を過ごした。素敵な夢を見てた浅草の芸人のような毎日スポットライトが当たっている時とそうでない時。芸人は、存在自体が消耗品のような気がするが振り返ってみればそこには必然性があり、その一世風靡したそのギャグは時代の空気を封じ込め、時計を止めたままに次の機会をじっと待っている。そのことを史実として書き留めておく事の重要性をこの本も伝えている。
エノケンに憧れたのは、僕がニューオリンズで会った男だけではない。
劇場や映画を通じて日本中に数多くのエノケンフォロワーが生まれた。著者である澤田隆治さんも子供の頃に映画を観まくった。山田洋次監督の『男はつらいよ』の寅のおいちゃん役の森川信もエノケンが足を脱疽で失った後、ステージいっぱいに動き、エノケンの笑いを引き継いだ、「ハヤシもあるでよ」の南利明はエノケンの正式の弟子だ。・・・というてもなんの話かわからんよね。
今はその点と線を繋ぐ資料はWikipediaでYouTubeなどでアーカイブの公開が一部分されている。ぜひこの本を手にした後、調べて見てほしい。
さて著者はラジオからテレビの時代をプロデューサーとして活躍した。
藤田まことは、股旅物の『てなもんや三度笠』で「あたり前田のクラッカー!」といって大ブレイクしその後は『必殺仕事人』や『はぐれ刑事純情派』と三度もヒット作に恵まれたが、著者は藤田まことのその以前を知っている。また漫才ブームの仕掛け人としても名を残している。エンタツアチャコは戦後当時すでに2人で漫才はやってはいなかったが、澤田隆治氏の熱意によって何度か共演を果たしている。
ダイマルラケット、芦屋雁之助が、鳳啓介がいったいどこからきてどこへ行ったのか?
著者が訴えているメッセージの一つは大切なのは正しいデータ保存の件だ。今後のアーキビストたちの必要性でもある。蘇るべきは大量消費されてきた記憶たちである。
ストップ!
現役のジモリの諸君たちは時代劇部というのを知っているかい?