2020年12月7日月曜日

影を呑んだ少女

おはようございます!本日は、

『影を呑んだ少女』フランシス・ハーディング/著(東京創元社)です。

英国、17世紀、ピューリタン革命を背景に、自らの力を精一杯使って、味方を増やし、たくましく生き抜いていく少女の姿を描く、ゴシック・歴史ファンタジーです。

1640年代のイギリスが舞台、当時のイギリスは内乱の真っ只中、その激動の時代に巻き込まれながらも、懸命に生き抜こうとするのは、主人公のメイクピースです。

幽霊が憑依する体質のメイクピースは、暴動で命を落とした母の霊を取り込もうとして、死んだクマの霊を取り込んでしまいます。クマをもてあましていたメイクピースのもとへ、会ったこともない亡き父親の一族から迎えがきます。実は、父は死者の霊を取り込む能力をもつ旧家・フェルモット家の長男だったのだのです。

彼女の持つ「霊を取り込む(憑りつかれる)」能力が本書の重要な鍵となっています。しかし、彼女以外の登場人物は、霊ではなく、政治思想や伝統などにとりつかれているのです。

過酷な状況下で葛藤し、兄を救おうと邪悪な一族に立ち向かう勇気。自分が囚われていた想いに向き合い、運命を切り開いていく強い意志で、彼女に憑依する秘密の友達や謎めいた医師らと共存するように困難と危険を乗り越えながら奮闘し、自由を求め成長するメイクピースが魅力的です。

「あたしはなにももってないけど、でも、あたし自身をもってる」

人間の持つ知恵や勇気、諦めない気持ちが伝わってきます。ご一読を。