2020年12月4日金曜日

晴れ、時々くらげを呼ぶ

おはようございます!本日は、

『晴れ、時々くらげを呼ぶ』鯨井あめ著(講談社)です。

高校2年生の越前亨は、感情の起伏が少なく、何に対しても誰に対しても思い入れを持つことがあまりありません。

父親を病気で亡くしてからはワーカホリックな母と二人で暮らしです。

父親が残した本を一冊ずつ読み進めています。亨は、売れなかった作家で、最後まで家族に迷惑をかけながら死んだ父親のある言葉に、ずっと囚われていました。

図書委員になった彼は、後輩の小崎優子と出会います。彼女は毎日、屋上でくらげ乞い!をしているのです。

雨乞いのように両手を広げて空を仰いで、「くらげよ、降ってこい!」と叫んでいます。

くらげを呼ぶために奮闘する彼女を冷めた目で見、距離を取りながら亨は日常を適当にこなしていましたが、8月のある日、亨は小崎が泣いているところを見かけます。

そしてその日の真夜中、クラゲが降ってきたのです。はやる気持ちを抑えられず、亨は小崎のもとへ向かいますが、小崎は「何の意味もなかった」と答えます。納得できない亨ですが、いつの間にか彼は、自分が小崎に対して興味を抱いていることに気づきます。

若いけれど弾けるような力もなくてモヤモヤを抱えている高校生の、やさしい抵抗やちょっとの成長が描かれていて、なんとも言葉にならない、言葉にして割り切れない高校生たちの気持ちが伝わってきます。

空を見上げてくらげを呼んでみたいこともありますよね。