2020年12月2日水曜日

わたしの島をさがして

おはようございます!本日は、

『わたしの島をさがして』ジュノ・ディアス/作 レオ・エスノサ/絵 都甲幸治/訳(汐文社)です。

移民の子・ロラの学校には、いろいろな国から来た子たちが通っています。ある日、「生まれた国の絵をかいてくる」という宿題が出ます。ロラは島で生まれましたが、赤ちゃんのときにやってきたので、島のことは何もおぼえていません。ロラは困ってしまいますが、島のことを覚えている人の話をきけばいいと思いつきます。

毛布みたいに大きなコウモリ、とまらない賑やかな音楽、頭のサイズ程もあるマンゴー、色彩にあふれる人や家、詩にうたわれるような浜辺――そして、そこには「怪物」がいました。

おばあちゃんにすすめられて、とっつきにくい管理人のミアさんの話を聞きにいくと「怪物」の話をしてくれました。30年!も暴れまわった「怪物」に、人々が立ち向かい、最後はみんなでやっつけたというのです。

最後の見開きには、ロラが描いた島の絵が画面いっぱいに紹介されます。

よくあるモテない現代オタク少年の青春話っぽい冒頭から、まさかのドミニカ共和国を30年近くも支配した独裁者との3代にわたる逞しい女たちと、ふがいない男たちの闘いの歴史へと骨太な展開へと繋がっていく『オスカー・ワオの短く凄まじい人生』都甲幸治/訳(新潮社)などの小説で知られる本書の作者のジュノ・ディアスは、1968年ドミニカ共和国生まれの作家です。6歳のときに家族で渡米。父親が失踪、兄は白血病を患い、窮乏状態の中で育ちます。皿洗い、ビリヤード台配達、製鉄業などの仕事をしながら、ラトガーズ大学とコーネル大学大学院で文学と創作を学びました。従って、ここに描かれているのは、カリブ海の島国、ドミニカ共和国のことでしょう。

生まれた国の絵を描こうといわれて、楽しいことばかりではなく、「怪物」・・・「独裁」というつらい歴史のことも紹介していることが、この絵本に奥行きを与えています。

悲しい思いをして、何十年も前に離れた祖国に、人々がさまざまな形で向き合い、愛憎相半ばしながらも、思いをつなげていることが、物語を通して伝わってきます。

ちなみに、その「怪物」に対して闘ったドミニカ共和国の人々のことを扱った児童文学に、ドミニカ共和国出身のフーリア・アルバレスの『わたしたちが自由になるまえ』(ゴブリン書房)があります。

絵本・児童文学・小説と、それぞれに手に取って読んで頂ければ・・・。