2020年12月6日日曜日

ハナコの愛したふたつの国

こんにちは!本日は、

『ハナコの愛したふたつの国』シンシア・カドハタ/著(小学館)です。

ハナコの家族は、ロサンゼルスでレストランを経営して暮らしていました。しかし、第二次世界大戦が始まり、11万人もの、殆どの日系人が収容所に入れられ、ハナコの家族も収容所で困難な暮らしを余儀なくさせられました。両親は、終戦後アメリカ国籍を放棄し、 日本の祖父母の所に身を寄せることにします。

日本は、ハナコにとって未知の国です。ハナコたちは、すべてをなくして、日本に降り立ちました。ハナコたちを待っていたのは、敗戦まもない荒れ果てた大地です。広島の郊外の貧しい農家での祖父母との暮らしは、着るものも食べるものにも事欠き、なんとか「生き延びる」ことが切実な日々でしたが、優しい祖父母に可愛がられ、かけがえのない家族団らんを過ごします。

全編にちりばめられているのは、家族三世代の強い絆と、人が生きていく上での『希望のありか』。そして、切なく深い思いです。・・・

日系米国人のハナコが終戦後、祖父母のいる広島に父母と帰りますが、しかし、また家族は、ハナコと幼い弟のみをアメリカに戻す辛い決断をします。第2次世界大戦終了後、日本で暮らさなければならなくなった日系アメリカ人の一家を描く歴史物語です。

 

物語はハナコという子どものみずみずしい視点から語られていますが、強制収容所での日々、欧州戦線で勇敢に戦った日系人の442部隊、原爆投下後の広島の惨状、日系人の市民権回復生涯をささげたウェイン・コリンズ・・・など、戦中から戦後にかけての歴史が記されています。また、ハナコと戦災孤児キヨシとの関係も。

戦後75年の本年、コロナ禍の惨憺たる現状で終わろうとしていますが、改めて、本書を読むと、戦争で二つの祖国に翻弄される史実を知ると共に、その中で懸命に生きる市民の強さが心に刻まれます。2020/12/06