2018年11月5日月曜日

おすすめの一冊


 
おすすめの本は、『その年、わたしは嘘をおぼえた』(ローレン・ウォーク著、中井はるの・中井川玲子訳、さ・え・ら書房2018/10/25)です。

時は第2次世界大戦が影を落とす1943年秋。もうすぐ12歳になる主人公のアナベルは、USAの片田舎の小さな村で暮らしていた。ある日、村の学校にベティという少女が転校してくる。ベティは学校帰りにアナベルを待ちぶせ、恐喝まがいのやり方でいじめる。その場を救ったのは、風変わりな見た目と行動で村人たちから気味悪がられているトビー。かれは、第1次世界大戦で心に傷を負った男だった。アナベルへのいじめがやみ、一見、平穏な日々を取りもどしたかに見えたが、学校で事件が起きる。
興味深いヤングアダルト(YA)ブックでした。ベティの「嘘」とアナベルのつく「嘘」。嘘の伝搬と共同体の心理。子どもから大人へと成長する契機と、成長する子どもから見える様々な大人たちの姿。蔽う戦争の影と癒されない戦争後遺症。そして、二人(ベティ、トビー)のストレンジャーの運命。
舞台となる「オオカミ谷」という丘陵地のリアルな自然の中で、物語は様々な考えを抱かせつつ展開します。中高校生の皆さんへ、おすすめです。